新谷富士雄新谷 冨士雄
(しんたに ふじお)

新谷冨士雄(しんたにふじお)は東大医学部及び大学院卒、心臓血管研究所を経て米国クリーブランド・ケイスウェスタン大学に留学、日赤医療センターで循環器科部長を務め、1998年定年退職。

新谷弘子(しんたにひろこ)は日本女子大学福祉学科卒、東京都民生局勤務、夫の留学と共にアメリカへ3人の子供を連れ在米、福祉ボランティアと子どもの学校教育・社会貢献活動を学ぶ。1977年、社活研(社会福祉活動教育研究所)を設立。社会福祉活動に広く従事。

二人は早くから“ふじひろビル”(仮称)を青山に建て、医療を含む社会貢献を行う夢を持っていました。しかし、1999年介護保険法施行を目前に、「社会福祉法人パール」設立が認可され、福祉総合プラザの建設が実現。この夢が叶えられるに至りました。現在 二人とも77歳、健康寿命が許す限り活動して参ります。

新谷弘子新谷 弘子
(しんたに ひろこ)

はじめに

何事についてもそうですが、「人へのサービス」につては、まず「安全の確認」ほど大事なことはありません。私どもが社会福祉法人パール 特別養護老人ホーム「パール代官山」「福祉総合プラザ」を開設したのは1999年(平成11年)。翌2000年(平成12年)には介護保険施行による運営を始めました。以後、技術と知恵を絞って老人介護の道を歩んで参りました。物事を進めるために必要かつ大事なことは「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、私どもは、サービスの質向上のためには「ヒト」ほど大事な要素はないと信じます。つまり、福祉・介護職員の資質と技量を高めることです。

パールの歴史は33年前にさかのぼりますが、施設介護を始めたのは12年前にすぎません。そこで、新しい職員たちとともに、サービスに伴うさまざまな経験・心得・解決法を手探りで努力して参りました。その一環として、「安全管理」の講話を毎週一回続けてきました。他の企業や施設では「危機管理」という言葉を使うようですが、私どもは、あえて「安全管理」と名づけています。なぜなら「安全管理」は「危機管理」をも含むからです。さらに、「安全」は「失敗を起こさない実技」だけでなく、広い教養に裏打ちされた、その人の資質によって確保されるものと、確信するからです。つまり、講話の内容は「安全訓戒」のみならず、「一般教養」にも及ぶべき、と思うのです。一般教養は、大学教養課程でいう「リベラル・アーツ;Liberal Arts」に相当します。

私どもはティーンエイジャーの頃に 天下国家 森羅万象などを議論し、また哲学する おかしな時期を過ごします。しかし、早くから専門職の勉学に励むと、とかくこのような「一般教養」がおろそかになりがちです。その頃に得られる一般教養は社会生活を送るうえで終身役立つものです。専門教養とリベラル・アーツは、福祉に従事する職員の車の両輪と私どもは思っています。

このシリーズは、このような理念に基づいて、実際に講話された内容を、職員の教材としてまとめたものです。講話を聞いた職員たちは、さまざまな意見を述べ、レポートを提出します。そのレポートの内容をも、「声」として、随時ちりばめてみました。話をした人、聞いた人が一体になり、フィードバックしながら、「安全」を確認し、教養と常識の推進に努めて参りました。

教材のアイディアは私たちの発案によるものですが、引用した文献や文書も多数あります。それらの出所は文末に記載してありますが、ここに改めて謝辞を申し上げます。読者の皆様方は、きっと私どもに「エール」を送って頂けるものと考えています。

2010年9月1日
                       社会福祉法人 パール  理事長  新谷 弘子
                         パール診療所 所長 常務理事 新谷 冨士雄

 

ふじひろブログ BMIからみた生と死のはざま